がん終末期患者はカンジダなどの真菌の口腔内感染のリスクが高い(発症頻度30~50%)。カンジダは日和見感染症であり、全身状態の悪化とともに口腔内に症状が現れる。
カンジダ感染の症状
- 口腔内の状態
乾燥、清掃状態の不良、典型例では白色偽膜、粘膜の発赤、荒れ
乳頭の萎縮、両側の口角炎 - 疼痛の性質
ヒリヒリ、ピリピリとした痛み、灼熱感、自発痛、持続性の痛み
特に熱い物、刺激物による痛み、口腔内全体の痛み - 味覚異常
食事と関係なく口腔内に苦味、渋みを感じる
醗酵したような甘い匂い
口腔の表在性カンジダ症の治療に用いられる抗真菌薬
アンホテリシンB (ファンギゾン) | 最も強い抗真菌薬 耐性菌はほとんどなし ほぼすべての真菌をかばー。アスペルギルスにも有効。腸管からはほとんど吸収されない | 原液を10~20倍希釈し、1日4回含嗽 |
ミコナゾール (フロリード) | 副作用少ない 腸管吸収よく、全身移行良い グラム陽性球菌にも有効 アスペルギルスに無効 ノンアルビカンスにも50%耐性 | 1日4回、大豆大を口腔内全体に塗布。 塗布後1時間は飲食を控える |
イトコナゾール (イトリゾール) | 血中半減期が長いため1日1回投与が可能 アスペルギルスにも有効 | 1日1回空腹時に20mlを口腔内に含んだうえで内服 |
抗真菌薬使用時の注意点:薬物の相互作用
ミコナゾールやイトコナゾールは、薬物の肝臓での代謝を阻害するため、肝代謝の薬物の作用を増強させる相互作用がある。
併用に注意が必要な薬剤:ワーファリン、オキシコンチン、トリアゾラム(ハルシオン)シンバスタチン(りボバス)ピモジド(オーラップ)アゼルジピン(カルブロック)