原因:
唾液分泌そのものの低下
禁食や摂食障害により、唾液分泌を促す刺激が低下
加齢変化に伴う唾液分泌の減少
頭頸部放射線治療、化学療法による唾液腺障害
各種薬剤の副作用・・・モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなど医療用麻薬や
向精神薬や抗不安薬、睡眠導入剤など
脱水気味の維持管理(少なめの輸液)
努力呼吸に伴う口呼吸、開口状態の増加
マスク・カヌラによる酸素投与
室内、季節など環境そのものの空気乾燥
対応:
口腔乾燥に対して処方できる薬もあるが、在宅療養中のがん患者には、口腔乾燥に効果があっても、保健適応の問題や内服薬が増えてしまうなどの問題点から、積極的な使用が困難。そのため、口腔乾燥への対応は、対処療法が主体。予後が1~2ヶ月程度と予測される患者は口腔乾燥は、輸液治療によって緩和される見込みは少なく、保湿を中心とした口腔ケアが最も有効とされている。
主体となる保湿剤は、効果や個人差があり、使用感のよい、最も口腔症状が緩和する保湿剤を選ぶことがよい。
口腔乾燥に対して保険適応のある薬剤
商品名 | 一般名・成分 | 剤型 | 保険適応症例 | 使用方法 |
サリグレン
(30mg)
エポザックカプレル(30mg) | 塩酸セビメリン
水和物 | Cp | シェーグレン症候群 | 1日3回
1回1錠 |
アテネントール錠(12.5g) | アネトールリチオン | 錠剤 | 胆道系疾患、シェーグレン症候群 | 1日3回
1回2錠 |
サラジェン錠
(5mg) | 塩酸ピロカルピン | 錠剤 | 頭頸部放射線治療に伴う口腔乾燥症、シェーグレン症候群 | 1日3回
1回1錠 |
ツムラ
白虎加入参湯
エキス | セッコウ・チモ・コウベイ・カンゾウ・ニンジン | 顆粒 | 喉の渇き、ほてり | 1日3回
1回3g |
ツムラ
麦門冬湯エキス | バクモントウ・ニンジン・タイソウ・カンゾウ・コウベイ・ハンゲ | 顆粒 | 痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支ぜんそく | 1日3回
1日3g |
サリベート | リン酸―水素カリウム・無機塩類配合剤噴霧剤 | 噴霧剤 | シェーグレン症候群、唾液腺障害 | 1日数回噴霧 |
蒸散予防
マスクなどで口腔からの水分蒸発を抑える
保湿
保湿効果のあるもので口内を湿潤させる
水、レモン水、2%重層水、氷片を口に含む
各種保湿剤(保湿ジェル、保湿スプレー)
グリセリン含有のうがい薬、人工唾液、白ごま油
口腔乾燥に使用される市販品
商品名 | 一般名・成分 | 剤形 |
オーラルバランス | ラクトフェリン
リゾチーム | ジェル液状 |
リフレケアH | ヒノキチオール | ジェル |
うるおーら | ラクトフェリン | ジェル液状 |
バトラー口腔ケア
SGシリーズ | Tornare | ジェルスプレー |
ビバ・ジェルエット | 水・グリセリン | ジェル |
マウスピュア | 水・グリセリン | ジェル液状 |
コンクールマウスリンス、
ジェル | ホエイ蛋白、
EGF | 液状
ジェル |
国立がんセンター、県立静岡ガンセンターでよく用いられている、保湿含嗽剤の作成法
うがい薬の作り方
- 空の500mlペットボトルを用意
- ペットボトルの1/4~1/3位まで水道水を入れる
- ペットボトルの中にハチアズレ5包・グリセリン60mlを入れ、よく混ぜる
- およそ500mlとなるように③に水道水を加えて再度混ぜる
*菌の繁殖を避けるために、冷蔵庫に保管し、7日以内に使用してください。
うがい薬の使い方
1日4回、毎食後・就寝前を目安におこない、症状により回数を増やしてください。
1回10mlを口に含み、グチュグチュうがいを2分間。