がん終末期や在宅療養中の患者は、体に痛み、呼吸困難、悪心・嘔吐、倦怠感など多くの身体的な苦痛症状を抱えていることが多く、口腔ケアにかけられる時間や体位に制限がある。
また、口腔ケアそのものの行為によって、患者が疲労感を強めたり、身体に苦痛が起きてしまうようなことは避けなければいけない。そのため、全身状態と口腔アセスメントを行い、口腔ケアによる苦痛は最小限にとどめるように注意し、有効なケアを提供できることを目標に、現実的な対応を考慮し、患者や家族に関わってゆくことが大切である。
がん終末期の口腔内は下記のような状況が想定される。
- 口腔内に痂皮や痰が大量に付着し、スポンジだけでのケアは十分に除去できない
- 口腔内に腫瘍があり、持続的に口腔粘膜から出血が続く、あるいは開口が十分にできない
- 歯間に食渣やプラークが大量に付着し、スポンジでは十分に除去できず、口臭が改善しない。
- 全身状態の悪化によりケア方法の見直しやケアの中止をせざるえない。