口腔トラブル

がん患者を支える口腔ケア

人は食事を口から摂取することで、①基本的欲求が満たされ、②生きることへの意欲に繋がり、③健康の維持・増進、健康の回復に直接的な効果を得る。

もし食事摂取ができないと、人は早晩生命の危機に陥る。そればかりか、「人らしく生きていく」ためには食べることが基本であり、「食べたい」は生きることへの尊厳を表す。しかし、そのためには、口腔が正常に機能することが必須である。

進行がん患者は、口腔の腔機能が低下していることが多い。
たとえば、①化学療法や放射線療法などによる免疫機能の低下でカンジダなどの感染頻度が高い。②衰弱や低栄養状態や脱水で、口腔粘膜炎や口腔乾燥(唾液の自浄作用の低下)となり咀嚼が困難、③痛みや異常味覚で経口摂取意欲が下がる、などである、もし重症になれば、患者に口から食べることを完全に断念せざるをえないことにも少なくない。軽度から重度の障害まで、これらは患者のQOLを低下させて、生きることへの意欲が低下して、「その人らしい人生を全う」できなくなる。

以上のことから、がん患者が口から食事を摂取できるように支援することはたいへん重要な役割といえる。

  1. がん患者の口腔内の特徴
  2. 口腔ケアの意義・目的
  3. 口腔ケアのポイント
  4. 口腔ケアの実際
  5. がん患者の口腔に起こるトラブル
  6. 口腔乾燥の原因と対応
  7. 真菌感染症
  8. ヘルペスウイルスに用いる薬剤
  9. 口腔粘膜炎への対応
  10. 味覚異常の原因