トラマール
オピオイド作用、ノルアドレナリン再取り込み阻害作用、セロトニン再取り込み阻害作用によって鎮痛効果を発揮します。位置付けとしては、弱オピオイドであるリン酸コデインの代替薬です。モルヒネよりも便秘が少なめで、吐き気はほぼ同等程度です。
トラマール300mg内服=モルヒネ内服30~60mg(5~10:1)。
トラマール300mg内服=約70%程度の吸収率(生体利用率)なので200mg注の持続静脈・皮下投与に相当。
※ トラマール300mg内服は添付文書においてはモルヒネ内服60mgに相当するとされてます(同じmg数の比較では、モルヒネの約1/5~1/10の鎮痛能力)。しかし患者さん個々の状態に応じて安全性を重きにとる場合には少なめの1/10換算としてモルヒネ30mgとして変更するようにしてください。オキシコドン内服への切り替えは、モルヒネ内服に換算してから、もう一度換算(例 30mgモルヒネ内服=20mgオキシコドン内服)を推奨します。
※ 保険適応上は、筋肉注のみが認められている薬剤ですので 持続皮下注が必要になっている事を保険査定を回避するために「コメント注記」が必要です。
トラマドール37.5㎎とアセトアミノフェン325㎎が配合された、トラムセット配合錠も発売されています。麻薬扱いにならないので使用しやすい薬剤ですが、保険適応は非がんの慢性疼痛となっていますので、トラマドールを がん疼痛には処方してください。
初回導入の処方サンプル
トラマールカプセル(25mg)
4C(100mg)分4から開始
100mg/日ずつ300mg/日まで増量(25mg4C分4→8C分4→12C分4)
疼痛時頓用:1回量分内服(1日2回まで)
トラマール注(100mg/1アンプル=2cc)
70~100mg/日持続皮下注で開始
50%ずつ200mg/日まで増量
疼痛時頓用:1~2時間分早送り
トラマール2倍希釈による持続皮下注 処方サンプル
トラマール注2A(200mg)+生食4ML/合計8mL をTE-361にセットして
濃度はトラマール25mg/ccです。持続静脈注射は、安全性が確認されていませんので禁止!
開始速度
0.1mL/時から開始
疼痛時頓用
1時間分早送り。効果がないとき2時間分にしても良い
ベースアップ
意識清明・RR≧10回を確認して8時間毎に増量可
-0.1mL/時(トラマール 60mg/日)
-0.2mL/時(トラマール 120mg/日)
-0.3mL/時(トラマール 180mg/日)
-0.4mL/時(トラマール 240mg/日)
レペタン
処方例:レペタン坐薬0.2mg×1~3回 → レペタン0.4mg×2~3回まで。
頓用
1回分
有効限界
1mg(レペタン0.4mg×3で鎮痛できなければ早めに強オピオイドに変更してください)
ペンタジン (ソセゴン 注と内服)
精神依存となるリスクが高く、同等効果を得られるトラマールの使用が可能となったため、がん疼痛といえども、処方は基本的には控えてください。
処方サンプル (がん疼痛にはなるべく回避、離脱のこと)
頓用
ソセゴン錠1回分 または ペンタジン静・筋注7.5~15mg。
有効限界
内服4~6T、注射2~3A(連用する場合早めに強オピオイドに変更してください)